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画期的なイノベーションを専門とするケンブリッジコンサルタンツとDNAストレージを開発するCATALOG Technologiesは本日、二社の協業とDNAにデータをエンコードするマシンを製作する計画を発表しました。エンコード処理機能を拡張したマシンは、低価格で速度が向上しており、来年に商用の生産準備を予定することができます。この技術があれば、全データセンターの情報が手のひらに収まります。
データをDNAにエンコードする独自の方法を確立したCATALOGは、ケンブリッジコンサルタントにプラットフォームの拡張と24時間に1Tbの速度(1080p HDビデオの64時間分相当)でデータをエンコードするマシンを設計製作するためのサポートを依頼しました。これほど高速になれば、DNAを経済性の高い長期データ保存媒体として使うことが可能になります。
クラウドサービスとしてアクセスされることの多いデータセンターのハードドライブのような従来のデータ保存メディアは、早くても2025年には私たちのデータ保存ニーズを満たせなくなるでしょう。合成DNAを用いたDNAデータストレージは、省スペースで持続可能性が高く、極小の装置に莫大なデータを収めることができます。
今日のデータセンターは、何エーカーもの場所を必要とし、安定性を保つために何百メガワットものエネルギーを特に冷却のため消費します。データをDNAにエンコードすることで、データセンターが消費するよりもはるかに少ないエネルギーでデータを保存することができます。DNAストレージは、常温で安全に保存可能で、スペース効率が良く、ハードドライブの寿命が数年のところ、涼しく湿度の低い場所に設置すれば寿命は1,000年にもなります。電力が不要なため能動冷却も不要です。
科学者は何十年もの間、DNAデータストレージについて研究を続けていますが、当面は採算の取れるものにはならないと思われてきました。今までは非常に速度が遅く、費用がかかっていたからです。
CATALOG独自の手法は、従来のDNAデータストレージとは全く違います。例えば、保存する情報が本の形態だとします。従来の手法では、本を最初から最後までの全文字を転写することで保存を行います。これには時間もお金もかかります。そして、違う本を保存したい場合は、また一からやり直す必要があり、費用は倍になります。CATALOGの手法は、活字面のある印刷機を作るようなものです。本の文章に合うよう活字面(あらかじめ作られたDNA分子)を配列し直します。そのため速く安くでき、違う本を追加で印刷する際の増分費用も非常に安くなります。
この新しいマシンは、活字面を使って異なる組み合わせを作る印刷機のような物です。合成DNAのフラグメントを使ってデータをエンコードし、試験管に乾燥粉末形状で保存します。
高速でDNAに情報をエンコードできるマシンを作ることは、集学的で複雑な取り組みです。24時間で1Tbという速度を達成するためには、マシンは顕微鏡スケールで何百億ものオペレーションを高並列に高精度で実行する必要があります。弊社は、マイクロ流体力学、プロセス・オートメーション、ソフトウェア開発、機械設計、合成生物学の専門家で構成されるユニークなプロジェクトチームを作りました。
CATALOG Technologiesの共同創立者でありCEOのHyunjun Parkは、「商業的に実現可能なDNAストレージを作るには拡張性を飛躍的に進歩させる必要があります。企業や政府が使うには今のままでは製造速度が遅すぎるし、費用がかかりすぎます。」と述べました。「ケンブリッジコンサルタンツと共同で開発しているマシンは、DNAストレージを研究の枠を越えて現実の世界へと移行させる史上初のマシンとなります。」
弊社Synthetic BiologyのトップRichard Hammondは、「世界を変革する可能性のあるこの素晴らしいプロジェクトでCATALOGと協業することができて嬉しく思います。」と述べました。「多様性に富んだチームを形成し、技術的な難題を乗り越えてきた長年の経験を投入する必要があります。このプロジェクトは工学と生物学を融合させ、斬新で新しいアイディアを実現させる私たちの力を示すものにもなります。」
本日の発表は、カリフォルニア州サンフランシスコで開催されるSynBioBeta 2018:The Global Synthetic Biology Summitと日を同じくして行われました。サミットには、弊社もCATALOGも出席しており、詳細についてお話しさせていただくことができます。