12年前の2006年、あなたは何をしていましたか? Facebookはソーシャルネットワークを開始したばかりで、初代iPhoneはまだリリースされてなく、LINEやWhatsAppのようなアプリもありませんでした。急速に進化する今の世界で、未来に思いを馳せることは楽しいですが、これらテクノロジーが2018年に一般に普及すると予測できたでしょうか?
ビジョンから創造する方法について学ぶ
私の同僚であるAJ van Bochovenが最近のブログで言及したように、私たちはビジョニングというアプローチを使い、進化するテクノロジーに関する知識とビジネスや消費者に影響を与えるメガトレンドの深い理解を組み合わせ、What-if思考を用いた2030年ビジョンを創造しました。ビジョニングは、顧客が変化を予測し、世界を変える新しい製品やサービスを生み出すことを手助けするツールです。私たちは、2030年の社会がどのようなものになるかについて2つの異なるビジョンを創造し、将来のイノベーションのシナリオとして実現しました。
2030年ビジョン
私たちは、この2つのビジョンを実際の知見や調査の結果に基づいて具体化しました。 「発見」のプロセスでは、トレンドリサーチやユーザーの潜在的ニーズに関する理解に基づいて未来の変化の原動を明らかにし、当社の800人以上のエンジニア、科学者、デザイナーが持つ経験や革新的な技術についての見解を応用しました。当社の専門家達は皆「次のブーム」についてそれぞれ意見を持っているので、私たちチームにとって大変有り難いリソースです。 しかし私たちは、彼らの見解をヒアリングするだけではなく、未来の主要消費者となるGeneration Zのグループといくつかのテーマについて話し合い、実際のインサイトを得ることができました。 当社でインサイトを専門とするJohanna Martinが次のブログでこのプロセスと結果について詳しくお話します。
ビジョン1:心の健康に意識を向けた世界
今後12年間で心の健康は身体の健康と同様に扱われるであろうと予測しています。ライフスタイルのデジタル化が進むことにより不眠症が増加し、実質的な社会との関わりが阻害され、結果的に心の健康と幸福度が損なわれる可能性があると考えます。しかし、2030年までには新しい技術が誕生し、心の健康と幸福度を保つサポートをしてくれるはずです。それら新しい技術から生まれた製品やサービスが、消費者が「繋がる」、「学ぶ」、「活動的でいる」、「マインドフルでいる」、「正しい食を取る」、「与える」といった心の健康向上に必要な時間を作れるよう最大限のサポートを提供します。
2030年、消費者が「実際の繋がり」を求めるなか、消費者のデジタル行動と心の健康の関連性が広く理解されています。企業は社員の心の健康状態が生産性に影響を与えることを認識しており、社員のストレス管理をより効果的にサポートするための対策を行っています。このようなSociety 5.0の社会でテクノロジーが活躍することは明らかです。
ビジョン2:気候変動に適応する社会
気候変動の結果、水不足と食料不安がますます差し迫った課題となります。気候変動を食い止める対策だけではもはや十分ではなく、イノベーションを駆使して新しい気象パターンに適応しながら気温上昇を最小限に食い止める策を講じなければなりません。2030年、消費者は自ら小さな行動を起こし、団結して環境に良い変化を起こしたいと考えています。企業の「成功」の定義は、増え続ける消費をさらに増大させることではなくなっています。消費を削減する行動は任意の選択ではなく、2030年の消費者が必然として企業に求めることです。
私たちの取り組み
私たちが実施したインタビュー調査と文献調査の結果を基に、営業担当者、イノベーション&インサイトコンサルタント、技術者やデザイナーなど当社の多様な人材が参加したクリエイティブなワークショップを通じてビジョンを具体化しました。市場や技術に関する最新の知識を持つ者がビジョンの信頼性を高め、そこへデザイナーがインスピレーションを与え具体化させました。
さまざまな誘因により多様なシナリオを描くことが可能となります。私たちは、このようなプロジェクトを顧客と共同で創造したいと考え積極的な働きかけを行っています。プロジェクトは実質的でインスピレーションを与えるようなものでなければなりません。しかし、いくら未来の社会を予測して描いてもその通りになることはまずありません。そのため、より幅広い問題や潜在的なニーズを考えるきっかけとなる全く異なるビジョンの創造が重要となります。未来のシナリオを描き、それに刺激を受けることで私たちは将来の成功に向かうのです。
心の健康と気候変動に関連した全く異なる2つのビジョンから、2030年に向けた6つの全く違う技術コンセプトが生まれました。来週日本で開催されるCEATECでこれらのコンセプトをご紹介いたします。詳細については、AJ Van Bochavenの今後のブログをご参照ください。