私たちは、電気通信の未来にとって極めて重要な時期に突入しています。没入感をもたらすコンシューマ製品向け技術や、高度に複合化された産業用アプリケーションにより、ネットワークが根本的に変革しようとしています。今こそO-RAN のRAN インテリジェント コントローラ(RIC)が提供する機会とAIの補完的な進歩に向けて動く時です。これらは、最適化されたネットワーク自動化とサービスパフォーマンス性能を最大化する鍵となります。

O-RANは複雑なネットワーク運用に関するパラダイムシフトであり、5Gが定着するにつれて、通信業界に、より革新的な供給ルートをもたらします。重要なのは、自動化がO-RANネットワークの複雑さをどのように克服して、幅広い高性能ユースケースを提供できるかということです。

より優れたパフォーマンスのサービスを提供し、多くの新しいユースケースや様々な種類の端末に対応できるようにするためには、はるかに高度なネットワークの自動化が必要です。メタバースアプリケーションからリアルタイムのロボット制御まで、あらゆるアプリケーションそれぞれに非常に異なる最適化のアプローチが求められます。

この新しい景色の中では、ネットワークの利用率が向上し、周波数帯を有効活用することができ、そしてネットワークコストとエネルギーの消費を低減できます。実際、サービス事業者はクラウドコンピューティング環境を採用し、AIを活用した分析ツールによりRANの状況について豊富なデータを把握、持続可能性を考慮して消費電力を削減できるようになります。したがって、益々複雑化するネットワークの管理オーバーヘッドを軽減することが可能になります。

世界をリードするパフォーマンス

詳細はO-RANのホワイトペーパーでご覧ください

新しいミッションクリティカルなアプリケーションで世界をリードするコンピューティング性能で動作させることは「単に実現できればいい」という話ではありません。通信業界に新しい収益源を提供し、サービスを享受するユーザーへの付加価値を高めることは不可欠です。

今後はオープンスタンダードの利点を利用して最新のAIテクノロジーを提供し、個々のユーザー/アプリケーションのパフォーマンスを直接最適化する事が成功への鍵となります。同時にネットワーク全体のパフォーマンスを最適化する事も重要です。

ユーザーのプライバシーを(決定的に)侵害することなく、ネットワークとユーザーのデータから洞察を引き出す機能が重要となりますが、O-RAN標準では、洞察を得るために必要なネットワークテレメトリデータを公開しています。利用可能なデータにより、実際のユーザー/アプリケーションエクスペリエンスを推測でき、ネットワーク構成を調整してエクスペリエンスを改善することが可能となります。

ユーザーエクスペリエンスの推測

プライバシーを侵害することなく個別に最適化を実行する必要がありますが、実際に測定せずにユーザーエクスペリエンスを推測できることが重要となります。サービス品質やユーザーエクスペリエンスを推測には、次の3つのメリットがあります。

  1. 各ユーザーレベルおよび全体としてのエクスペリエンスの両面における質の改善

  1. ネットワークインフラのより効率的な利用と、その結果としてのコスト及び持続可能性実現への好影響

  1. サービスプロバイダーやO-RAN技術の開発に携わる企業にもたらされる新たな収益源

AI分野の最近の進展により、すでに変化が見えてきています。新しいホワイトペーパー「O-RAN and AI: ready to transform service performance in the optimised network(O-RANとAIによるネットワーク最適化でサービスパフォーマンスが変革)」では、O-RANのインテリジェント化に関して掘り下げており、ケンブリッジコンサルタンツで行った最近の研究を紹介しながら、AIの活用でユーザーエクスペリエンスを推測推論する手法の可能性を紹介しています。

高い品質のサービス(例えば没入感の高い個人向けエクスペリエンスや産業用の超低遅延サービス)を提供しようとするサービスプロバイダーは、アプリケーションパフォーマンスの性能の目標値を設定することで、ユースケースに関わらずネットワーク設定を保証する手法となります。そして強調しておきたいのは、これによりコストを抑え控え、環境への影響を低減し抑えながら、高い性能が得られるということです。

ユーザーエクスペリエンスとサービスパフォーマンスの改善に注力することがモバイルブロードバンドインフラの将来に向けた鍵になります。そして、高い性能と効率の良いネットワークインフラに依存する新世代の没入型サービスでは、特にこれが重要です。ケンブリッジコンサルタンツは「思考に制約を決して課さない」ことをモットーにしています。その自由なアプローチと、これまでに培った通信産業分野の専門知識にもとづき、お客様がネットワークの未来を掴むためのお手伝いをします。

詳細については、新しいホワイトペーパー(英文)をご参照ください。

この記事はMobile World Congress 2023 Show Dailyで発表したものです。

Derek Long
Author
ドクター デレク ロング
シニアバイスプレジデント・テレコミュニケーション

テレコム&モバイル分野を担当、通信事業者やインターネットサービスプロバイダーのみならず装置ベンダーや部品メーカー向けに最先端の通信技術を活用したブレークスルーイノベーション実現の支援している。モバイル分野において20年以上の経験を有し、多国籍企業において様々な上級管理職を歴任、LTE-Aや5Gなどモバイルおよびブロードバンド技術全般の豊富な専門知識を有する。ブリストル大学、電気通信博士課程修了。