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寿命と同じく生活の質も向上させることに対する技術革新、技術投資は盛んです。これは生涯健康(Lifelong Health)として知られており、小さいと思えるアクションが今後数十年の我々の身体や幸福度に大きな影響を与える可能性があります。

どのようにして自分の能力や経験を活かしながら地球上の最も精密な工学システムの一つを完成させるかを考えるのは、機械工学・システムエンジニアの私にとってとても興味深いことです。同僚のブログにもあったように、我々は加齢に伴う変化の分野について調査を行い、その詳細に知見を投じ、技術がどのようにそこに貢献できるかを探りたいと思っています。

我々は更年期障害に注目し、 のぼせから女性を解放する「デバイス」の使用について検討しました。デバイスを腕時計のような形にすれば機能性と控えめさを兼ね備えることができます。

初期目標

当初のステートメントは「急冷効果のある時計を設計できるか」というシンプルなものでした。それに下記が加わって広がり、取り組みを行うようになりました。

  1. スマートウォッチ同等のサイズと重量 - 既存の類似製品を基準とすることで、素早く許容可能なヒューマンファクターの限度を確立することができます。
  2. 5秒以内に5℃まで冷却する - チーム内の推定に基づいています。
  3. リサイクルが必要になるまで6回の冷却サイクルが可能 - 夜出かけたときや難しいミーティングに参加している間に起きるであろうほてりの平均回数より生成
  4. 充電時間を最小化 - 充電はイライラします。

これらは、いかなる設計方法も包含・除外することなく、可能な限りイノベーションの扉を大きく開くよう、注意深く書かれています。

選択可能な技術

何かを能動的に冷却するにはいくつかの方法があります。デバイスのオプションを検討している中で次のことを発見しました。

熱電冷却器(thermal electric coolers)

  + クイック・レスポンス(即反応)
  + 精密制御
  + 熱発電のために逆運転も可能
  – 大きなバッテリーが必要
  – 大容量の熱を発電し、サイクルタイムが長い

貯蔵圧縮冷却剤(stored compressed refrigerant)

  + 急冷
  + 電子機器不要 → コスト削減
  + サイクル毎の充電/リセット時間不要
  – 精密制御が困難
  – 管理しないと冷却剤放出がうるさい

吸熱化学反応(endothermic chemical reaction)

  + 電子機器不要 → コスト削減
  + 効果が持続する
  + 構造上適応性がある
  – 反応時間が遅い
  – 出力密度が低い

また従来の気体サイクルと真空冷却は大きすぎるということで、レーザー冷却は要求TRL(Technology Readiness Level 技術成熟度レベル)に到達していないということで、すぐに却下されました。上記に従い、圧縮冷却剤で進めることにしました。

可能性の領域

我々の狙いが物理の法則に則り、実現性があることを確認するため、次のタスクとして基本的な工学解析を行いました。これには貯蔵冷却剤のエネルギーと機器をどれだけ冷やしたいかを釣り合わせるための簡単な計算などがあります。結果は、スマートウォッチに収められる量の冷却剤で複数回の冷却サイクルが可能というものでした。

すでにあるもの

今すでに入手可能なものをリサーチし、いくつかの製品が現在市場で売られていることを知りました。熱電冷却を使うMenopodやEmbrwatchなどです。Menopodは5℃まで冷却するとされていますが、大きなバッテリーやそのバッテリーよりも大きいヒートシンクを要します。パソコンのマウスと同じぐらいの大きさでウェアラブルとは言い難く、毎サイクル後、冷却するのに何分もかかります。Embrwatchは最終的な冷却温度を示さず、代わりに装着者が涼しいと感じるよう冷却の波を鼓動させます。これによりバッテリーの消費(つまりサイズ)が抑えられ、かつより長い時間使ってから冷却すれば良いということになります。これらデバイスには概して肯定的なオンラインレビューが寄せられていますが、ユーザーの中には、充電がすぐ必要になるので残念という人もいます。

現実世界への移行

理論的に可能なアイディアを現実世界に移行させるため、必要な機能とそれらの提供に必要なハードウェア要素をリストに書き出しました。まずは冷却剤を格納する必要性が上がり、それにはタンクが必要・・・などなどです。

ケンブリッジコンサルタンツで仕事をする利点の一つは、さまざまな経験があることです。私はすぐにワイヤレスウォッチ、吸入器用気体流モデル、極端環境での温度・圧力検査を製作したことのあるメンバーとグループで話し合うことが出来ました。私たちはすぐにこの製品の最大の課題はタスクそのものではなく、それらを小さなパッケージに統合させることだということで合意しました。

続いて我々はすぐにさまざまな選択肢を調査し、一サイクル分毎の冷却剤をどのようにアスピリンのブリスター包装のように分離した入れ物にパッケージするか検討しました。これにより、設計を簡素化かつコストを抑えつつユーザー経験を保つことができ、デバイス内部の仕組みを省略することができます。

インサイトワークショップ

ニューキャッスルに拠点を置くNational Innovation Centre for Agingと共同で、更年期障害やほてりを煩う女性を対象とした一連のワークショップを開催しました。我々は彼女たちの経験について洞察を収集することに注力し、『体感』試作のデモを使って、技術を使ったアイディアに対する意見を引き出しました。これは、達成したい冷却効果を『模した』簡素な装置です。大きな開発労力をかけることなく早く意見を聞きたかったのです。

ワークショップから分かったことの詳細をレポートにしてあります。ダウンロードはこちらから。デモに対する反応はとても良いものでした。しかし、意見からみんなが時計を望んでいるわけではなく、バッグやポケットに入れて持ち運べるような物の方が良いということが分かりました。

ワークショップと並行して、デバイスをどの程度、どのぐらいの長さ冷却する必要があるか決めるためのテストを行いました。この結果好みは多岐に渡り、また温度が全てではないことが分かりました。デバイスや素材に対する人の慣れは大きな意味を持つため、温度に対する感覚は時間と共に変化します。冷凍庫から出した氷がその容器よりも冷たく感じるというのがその例です。

今後

この仕事を通して、我々は更年期障害の課題に関する多くの洞察と、それに対して技術をいかに役立たせるかというアイディアを得ることができました。可能性を紹介するために、一つの技術的方向に対する初期研究を行いました。このコンセプトの次のステップは恐らく以下のようになります。

  • 製品の工業デザイン ― 最終的な製品はどのような形で、使用するとどんな感じか
  • 主要な技術分野のリスク低減 ― この消耗品には特別な製造工程が必要なことが分かっている
  • ビジネスケースの開発 ― 定期制の消耗品が回収され充填されるようなサービスモデルを検討している

また、我々はセンサーやAIを追加することによる、寝汗に対処する冷却効果の自動的な誘発が可能かどうかにも興味を持っています。これらのスキルは社内にありますので、みなさんとさらに詳しく検討していきたいと思っています。

この技術や関連する生涯健康技術アイディアを進めるサポートについて知りたい方は是非ご連絡ください

Author
Stuart Watson
Principal Engineer

Stuart is a chartered mechanical engineer within the Analytical Engineering Group. Prior to joining Cambridge Consultants, he spent several years in the aerospace and consumer industries with hands on experience of precision mechanisms and mass production.