臨床試験:テクノロジーによるデジタル化の推進
多くの大手日本企業と緊密に仕事をする中でいつも感心させられるのが、長期的な物の見方と強い社会的責任感です。Society 5.0の確立において日本が主導的な役割を担っていることが、このことを最もよく説明しています。Industry 4.0が製造におけるデジタル革命に重点を置いている一方、Society 5.0は、更なる経済発展と社会問題の解決を目的とした超スマート社会に重点を置いています。日本政府はこの高い目標を前進させるため、大手日本企業と共に力を尽くしています。社会問題の解決についてはしかし、国連の持続可能な開発目標が、有用(ではあるが非常にハイレベル)な出発点となっています。
企業と個人の双方にとって大きな課題となるのが、未来の世界がどうなるか想像し、Society 5.0の高い目標を具体化することです。この新たな社会に備え、導いていくために必要なステップを計画するという難題が出てきます。
今年のCEATECのイベントは、Society 5.0に大きく焦点を当てています。私たちは出展者として、Society 5.0という未来の構想に関わり、議論のきっかけとなるような将来像をいくつか提供したいと考えました。将来を構想するにあたっての難題は、専門家でさえ将来を予測できないということです。未来のことを正確に知る人はいません。しかし私たちは、まったく違うビジョンを創造することを新たな機会と捉えています。曖昧な将来像ではなく、イノベーションの限界を広げ、幅広い未来コンセプトを持つことです。
私たちは、CEATEC用に日本の未来に合わせた独自のビジョニングプロジェクトを実施することを決めました。私たちのCEATECでの展示に先立ち、このブログでは今後数週間にわたりこのビジョニングの様々な取り組みについて紹介します。
このプロジェクトは、時間軸を設定することからスタートしました。私たちが選んだのは2030年です。この選択は非常に重要です。近すぎる未来、例えば3年から5年先を選ぶと今日の現状から未来を推定してしまうことが多くあります。しかし、遠すぎる未来を選ぶと、未知のことが多すぎて将来を構想するのが難しくなります。通常私たちは、顧客に8年から12年という時間軸を勧めます。2030年というのはこの時間軸の上限にあたり、人々を惑わせることなく、かつ何が将来可能かということを自由に想像することがきるからです。
時間軸が決まると、私たちはまったく違う将来の構想に役立つリサーチを始めました。このプロセスはご想像いただくよりも多岐にわたります。AIや合成バイオなどの多様な技術について広く記事を書いた社内の技術専門家にももちろん相談をします。しかし、社外や世界のさまざまなトレンドに目を向ける必要もあります。2030年の顧客が現在の顧客と同じでない可能性が高いというのは、見落とされがちな重要な要素の一つです。直に最も大きな消費者グループとなる「Generation Z」(1995年から2010年までに生まれた人)を対象とした調査をプロジェクトのために行うことを決めました。同僚のJohanna Martineが今月下旬に掲載される別のブログでリサーチの結果を説明します。
このリサーチから私たちは、Generation Zの志向に強く影響された、二つの異なる将来ビジョンを創造することができました。一つ目のビジョンは気候変動に、二つ目のビジョンは増加するメンタルヘルスの社会的課題に焦点を当てています。これらは広いビジョンですが、同僚のYasuko Abeのブログを見ていただければ、私たちがどのようにこれらのビジョンを具体化し、将来コンセプトを支えるツールとして使えるようにしたかがお分かりいただけると思います。
次の4週間は、これらのビジョンとコンセプトをスケッチや説明と共にご紹介するエキサイティングなものとなります。詳細を乞うご期待ください。CEATEC 2018でお待ちしています。