ケンブリッジコンサルタンツは、音声区間検出(Voice Activity Detection: VAD)処理を加速するための柔軟性のある世界最小電力IPブロック「Ecoutez」を発表しました。AlexaTMとGoogle HomeTMは、常時接続機能の新機軸を開いていますが、現在はこれら機器のエネルギー消費に注目が集まっています。バッテリー駆動機器に音声認識を活用するためには電力の大幅な効率化が不可欠です。Ecoutez VADは、わずか11μW(マイクロワット)で正確に音声信号を分類するよう設計されています。これは、最新の補聴器の100分の1の電力消費です。この結果、Ecoutezデザインは、VADが常時接続されているアプリケーションにとって重要な成功要因となり、音声認識技術の今後の革新の可能性を広げます。
音声区間検出は人の会話を検知するもので、スマートアシスタントの音声認識からVoIP通話まで多くの音声処理アプリケーションになくてはならないものです。音声と環境音を区別してアプリケーションの機能を動作させます。特にバッテリー駆動機器では、VADに要する電力が機器のサイズに大きく影響します。
「音声認識の電力要件を下げることは、音声技術市場を変革し、加速させる重要なブレークスルーとなります。」と述べるのは半導体サービス部門のトップJez Starkです。「AlexaTMやGoogle HomeTMのような音声を使ったパーソナルアシスタントの採用増加が常時接続機能の要件に影響しています。それと同時にテクノロジー企業は限界を押し広げ、音声インターフェースをスマートヘッドフォンや補聴器など、より小さな機器に搭載する方法を模索しています。この二つの動きが超高効率、超低電力VADの需要を創出しているのです。」
Ecoutezは40nm プロセスに0.2mm2 11μWのみを必要とします。VADアプリケーション専用の柔軟なIPブロックを設計することにより、高性能で柔軟性の高い低電力VADを可能にしました。Ecoutezは、特許を取得した弊社のSapphyreTM設計フローをカスタムコアとアクセレレーターに使い、柔軟なアーキテクチャを維持しながら、低電力音声認識をサポートします。これによりアルゴリズムが強化され、新たなシリコンを使う必要なく、また性能や効率性を損なうことなく実行することができます。また、この設計はキーワード検知アルゴリズムをサポートするよう拡張することもできます。*****
SapphyreTM技術は、ソフトウェアの原理をカスタムシリコンの設計に応用し、開発コスト削減や性能向上に欠かすことのできない迅速なプロトタイピング、最適化、回帰テスト、効果的なデバッグ作業を可能にします。
アソシエイトディレクターのRobert Tanはこう述べています。「このように複雑なシリコンIPアクセラレーターの設計サイクルは通常12ヶ月程度ですが、SapphyreTMを使うことでEcoutezを12週間かからず完成させることができました。この能力があれば、音声処理だけでなく様々な種類のカスタムIPブロックなどでも消費電力をさらに削減させることができるでしょう。」