~ 低解像度データから距離を予測し、自動走行の大衆化を加速する技術 ~
キャップジェミニ・グループの一員であり、画期的なイノベーションを専門とするケンブリッジコンサルタンツ(本社:英国ケンブリッジ、CEO :エリック・ウィルキンソン)は、わずか数千円程度のセンサー及びカメラの低解像データをAIと融合させることにより、高解像度の深度データ(センサーから物体までの距離)を生成する『エンフューズネット(EnfuseNet)』を開発しました。本システムは、現在の主流である単価数十万円のLiDAR*を用いた高級車向け自律走行システムを、一気に大衆車まで拡大できる可能性があります。また、アルゴリズム学習のための実世界のデータ収集を約70%減らすことができ、自動車メーカーや部品サプライヤーが取り組む自動運転への実現可能性を一気に後押しするものと考えています。
* LiDAR / Light Detection and Ranging / レーザー画像検出と測距
【エンフューズネットの特徴1:低価格】
エンフューズネットは、1つ数千円程度の標準的なRGBカメラと低解像度の深度センサーからデータを抽出し、ニューラルネットワークを活用して、元のデータよりもはるかに高い解像度で深度を予測するシステムです。
ケンブリッジコンサルタンツは、複雑かつ画期的なイノベーションで、お客様のビジネスを成功へと導くお手伝いをしています。
自律走行システムが意思決定をするためには、正確で詳細な深度ポイントクラウド(車両周辺の3次元表示)を作成することが非常に重要です。今日の自動運転では、LiDARまたはレーダーと組み合わせた2次元カメラの情報を使用し深度データを解像します。LiDARは現時点で最も正確なアプローチであるものの、回転式LiDARデバイスの単価は数十万円するため、高級車への展開以外には難しいものとなってしまいます。一方でレーダーは低価格ですが、高解像度の画像構築には十分な深度情報を提供できないという課題がありました。
【エンフューズネットの特徴2:高解像度】
もう一つのユニークな特徴は、深度情報が画像のピクセル単位となるため、システムでは画像内全ての対象物の深度データと信頼性の予測ができることです。エンフューズネットは、個々のピクセルレベルで高品質の深度ポイントクラウドを生成できるため、システムの説明可能性や追跡可能性(トレーサビリティ)は向上していきます。安全性を最重要視するアプリケーションにおいて、意思決定のプロセスが「ブラックボックス化」しないためにも、この考え方は不可欠です。
また従来のディープラーニングの開発作業では、エンジニアが実世界のセンサーデータを収集し、ラベル付けし、整理するのに何時間も要しますが、エンフューズネットは開発のためのコストと時間を約70%削減することができました。人工的に作成されたデータを用いて仮想学習環境でトレーニングされた後に、実データで検証が行われましたが、そこでも素晴らしい成果を上げています。実世界でのデータ収集が必要なくなることにより、これまで自動車メーカーや部品サプライヤーが、ADAS(先進運転支援システム)認知アルゴリズムをトレーニングするためにデータ収集していた時間、煩雑さ、費用を気にかける必要はなくなりました。
なおエンフューズネットの基礎となるモデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNNs / Convolutional Neural Networks)、完全畳み込みニューラルネットワーク(FCNs / Fully Convolutional Neural Networks)、学習済要素、転移学習、多目的学習、また深度予測パフォーマンスを最適化するその他のアプローチなどを融合した、完全に新しいアーキテクチャに基づいています。
【自動運転車の一般化に向けて】
自動運転車がより大衆化するには、価格と技術のバランスが決め手となります。新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年の世界市場は3%以上下落すると予想され、回復には数年かかる見通しです。自動車メーカーはこれまで高級車へのADASの導入を進めてきましたが、価格の問題から同システムの大衆向けラインナップへの導入には苦戦しています。一方、アルゴリズムの学習では、実世界のトレーニングデータを収集するために何百万マイルも走行する「陣取り合戦」が展開されたものの、初期に参入した一部のグループが支持され、新規参入がしづらい領域となりました。
エンフューズネットは、自動車メーカーやモビリティ技術を提供する会社が、自動運転システムにおける車両認識技術の更なる低価格化を実現すると共に、自動車業界の新しくより幅広い分野に自動運転を提供するサポートをします。
ケンブリッジコンサルタンツ 輸送・インフラグループのリーダーであるトーマス・カーモディは、「私たちは、高価格であるADASやテクノロジーに着目するところから始めました。最先端のAIを駆使したセンサーシステム設計における30年の知見を応用し、この画期的なシステムを作り出しました。 エンフューズネットが非常に低価格で前例のないパフォーマンスを実現し、今後自動運転機能が車選びの主流となるきっかけを作っていくことでしょう」と述べています。
カーモディはまた、「この新しいシステムは、日本の自動車部品サプライヤーがADASをはじめとする自動車アプリケーション向けAIモデルを開発し、競争力を維持するにあたって、必要な存在となるでしょう。ADASでカメラとレーダーセンサーを使用する日本の自動車部品メーカーの多くが、エンフューズネットの融合技術に関心を寄せてくださると見込んでいます」とも述べています。
ケンブリッジコンサルタンツはこれまで、データサイエンティストやエンジニアの最先端のAI技術の研究を活用し、世界を変える製品やサービスを開発するために、ユニークかつ実験に基づく文化を培ってきました。オフハイウェイ車、MaaS(Mobility as a Service)、スマートインフラストラクチャなど、自動車業界で長い実績があります。ケンブリッジコンサルタンツは、同業界のお客様が、自動運転によってもたらされる商機を捉えるお手伝いをいたします。
エンフューズネットは、こちらからお試しいただけます。本デモでは、エンフューズネットが低解像度データを用い、車両周辺の3次元表示を非常に鮮明に生成する仕組みをご体験いただけます。(日本語のデモが表示されない場合は、ブラウザの言語設定を日本語にしてください。)
※本件は、2020年 7月1日に英国で発表されています。
本件に関するメディアの方からのお問い合わせ先:
ケンブリッジコンサルタンツ株式会社
広報担当: 田中・山野(エイレックス)
TEL:03-3560-1855
E-mail: ccj-pr@arex-corp.com
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